公爵と結婚する方法 ヴィッキー・ドライリング

公爵の妻探しのために、お見合い大会を開く仲介人のヒロイン。 　これは現代人の感覚で書かれたツッコミどころの多い、なんちゃってリージェンシーという気がします。（実際、そういう作品は多いけれど。）作者はテレビのリアリティ番組をヒントにこの作品を書いたそうですが、アイディアは面白いと思うけど、摂政時代を舞台に書くのはちょっと無理があるような・・・。 　それでも説明的な描写はあまりなくどんどん話が進んでいくのでテンポよく読めるのは良かったです。ストーリーの展開重視でキャラクターの描写が表面的になっている気はしましたけど。まあ、花嫁を探している公爵が仲介人と恋に落ちる話なので、花嫁候補の女性はどうでもいいのかもしれないけど、候補者たちの描写はかなりテキトウでした。 　私は海外ドラマは好きだけど、リアリティ番組はバカバカしくてあまり好きじゃないです。この作品の元ネタは、全米ネットワーク局のABCで放送していて何シーズンも続いている"The Bachelor"という人気番組らしいです。大富豪の男性を射止めるために、女性たちが争うという番組で、出演者はいつもゴシップ誌で取り上げられ、ハリウッドスター並みに話題になってます。あまりの人気に、男女逆バージョンの"The Bachelorette"という姉妹番組まで出来たらしいけど、女性たちが争うほうが盛り上がるようで、Bachelorほどは人気がないみたい。 　そして人気番組があれば、他局もマネするもので、FOXが、Bachelorに一捻り加えた「ジョー・ミリオネア」って番組を作って、（これは日本のFOXでも放映してた。見てないけど。）こちらは基本的にはBachelorと同じだけど、最後に勝ち残った女性に、実はこの男性は富豪ではなく貧乏人だと知らせて、お金がないなら彼を捨てるのか、愛のために彼と一緒になるか選択させるというもので、よくもまあ、こんなにえげつない企画を考え付くものだと感心するけど、これが全米の視聴者にはバカ受けで、テレビ界の歴史に残る高視聴率だったそうです。 　そういうわけで、リアリティショーが大人気のアメリカで、そういった番組をネタに書かれたロマンス小説があっても不思議じゃないですよね。