ハーレクインの人気作家の長編ロマンス。 シリーズ前作の「愛しいあなた」よりも今作のほうが面白かったです。１４歳の時、好きになった男の子を追いかけまわし、そのあまりのストーカーぶりが地元の伝説になってしまったというヒロインは一体どんな女性なのかと思いきや、大人になった彼女は昔の振る舞いを後悔していて、恋愛にも臆病になっている繊細で優しい女性でした。結構な長編ですが、軽快な筆致で書かれていてどんどん読み進められます。主役の２人とも好感の持てるタイプで、ほほえましいカップルです。ロマンスとともに家族の確執が書かれていますが、虐待とかそういう深刻な話ではなく、冷たい母親や、お互いに理解し合っていない姉妹たちとの心のすれ違いがやけにリアルで、傷ついたヒロインの気持ちに共感できました。ヒーローも自分の母親に辛くあたった伯父に復讐心を燃やしているけれど、根は善人なのでワルになりきれずヒロインにも優しくて、口では非情な男のようなことを言っていても結局ラブラブの２人でした。ユーモラスで笑えるけど、ちょっとしんみりさせられるところもあるし、ロマンスは甘口で安心して読めるし、絶妙な匙加減ですべてがうまくまとまっていて、長さを感じさせないところが巧いと思います。あまり重い話ではなく、軽めの楽しいロマンスが読みたい時におススメです。
