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ロマンス小説の感想

シンデレラは情熱を夢見て ニコール・ジョーダン

シンデレラは情熱を夢見て (ラベンダーブックス) Princess Charming: A Legendary Lovers Novel (English Edition)

 

人気作家の最新シリーズ第一弾。  情熱的な恋に落ちることで有名なワイルド一族の人々を主役に、おとぎ話をベースに書いた"伝説の恋人たち"シリーズだそうで、1作目は妹の親友と恋に落ちるワイルド家の長男のお話。ヒーローの妹によれば、自分たちの一族は激しい恋をするように運命づけられているのだから、おとぎ話からヒントを得て運命の相手を探せば良いのだそうで、"〇〇にはシンデレラみたいな恋が似合うから、そういう相手を見つけてあげよう!"という風に、彼女がみんなの仲人役を買って出るというわけです。しかし、お伽噺風のロマンスを書きたいのはわかるけど、このコンセプトはかなり苦しまぎれで無理がある気がします。この作者の恋愛戦争シリーズは、"初心なヒロインに愛の手ほどきをして求愛に応えてもらう"というテーマで書かれていたと思うけど、そっちのほうがまだ笑えて良かった。   訳者さんのあとがきに書いてあったのですが、N・ジョーダンはロマンスを書く時、"愛に気付く"瞬間が重要だと思っているそうで、確かにそういう感じですね。ヒーローは、ヒロインを追いかけまわし傍目には彼女に恋しているとしか思えない行動をとっていても、頑固に「愛してはいない」と言い張り、ふとしたきっかけで突然目からウロコが落ちて「彼女を愛してる!」と言うのですよね。ストーリーを盛り上げるためでしょうが、言わせてもらえば、わざとらしくてちょっとシラケるのよね。(キャット・マーティンの感想にも同じようなことを書いた気がするんだけど、そういえば作風が似てるような。)その部分はいつも似たようなパターンなので、たまには変えても良いのではないかしら。  それでもベテランのN・ジョーダンなので、ストーリーもそこそこよく練られていて、盛り上げ方も心得ているので大きく外すことはなく、まあ楽しく読めました。人気作家故に、初期の作品まで次から次へと刊行され、飽和状態で少々飽きてきた気はしますが、よくわからない新人作家よりは安心して読めると思います。シリーズの次作はロミオとジュリエットのようなお話だそうです。