L0VE DRUNK

ロマンス小説の感想

運命のキスは柔らかな雨のように ジュリア・クイン

運命のキスは柔らかな雨のように (ラズベリーブックス) A Night Like This (Smythe-Smith Quartet Book 2) (English Edition)

 

スマイス-スミス家シリーズ2作目。  ヒロインは何やらワケありの過去を持つ美貌の家庭教師、ヒーローもトラブルを起こして国を追われていた伯爵で、脛に傷持つ者同士のロマンスですが、それほど悲壮感はなく前作同様ほのぼのとしたお話でした。壮大な陰謀などではなく、不幸なアクシデントで困った状況に陥ってしまったというのが説得力があって面白い設定だと思いました。  ヒロインの教え子の女の子達が個性的で楽しいし、優しいヒーローのセリフがとてもロマンティックで素敵で、会話が面白くてサクサク読み進みました。ヒロインがこういう設定だと悲痛でドラマティックな展開になりそうなものを(そういうのも面白いと思いますが)、ユーモラスに楽しくまとめているのがこの作者らしいと思います。  全体的にまったりしたストーリーですが、過去にちょっとしたヘマをやらかしている2人なので、そのせいででちょっぴり危険な目に遭ったりするのが、ストーリーのアクセントになっています。中盤の見せ場は、ヒロインの授業にヒーローも付き合って、教え子の書いたへんてこりんな劇作をみんなで演じるところだと思いますが、確かに笑えたけど、それだけだと少し単調なのでもう一盛り上がりあったら良かった気がします。終盤は波乱含みの展開で面白かったです。危機的状況になっても一族揃っててんやわんやなのがいかにもJ・クインという感じでした。次作は今作でヒーローを助けていた足の悪い侯爵家の息子が主役らしいので、それも楽しみです。