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ロマンス小説の感想

ストーンヴィル侯爵の真実 サブリナ・ジェフリーズ

ストーンヴィル侯爵の真実 (扶桑社ロマンス) The Truth About Lord Stoneville (The Hellions of Halstead Hall Book 1) (English Edition)

 

Hellions of Halstead Hall シリーズ第一作。  この作者は順調に新作が刊行されて嬉しいです。今作は新シリーズの1作目にしては奇をてらったところのないオーソドックスなストーリーでしたが、いつもどおり面白かったです。放蕩者の侯爵のヒーローが、祖母から1年以内に結婚しないと手当を打ち切ると言われ偽の婚約をするという、ありがちなパターンですが、キャラクターもストーリーもよく出来ていて楽しく読めました。  ヒーローは、少年時代に両親の壮絶な死を経験したトラウマで、酒と女に溺れるようになってしまった気の毒な男性、ヒロインはアメリカ人の裕福な令嬢で、失踪した婚約者を探しに英国にやってきてヒーローと出会うわけですが、偽装婚約に加え、ヒーローの両親の死の真相や、ヒロインの婚約者の失踪の謎解きがテンポよく展開し、読み始めたら止まらないストーリーでした。  飲んだくれの放蕩者だけど時折寂しさをのぞかせるヒーローと、お転婆だけど、そんな彼の悲しみに気付く繊細さもあるヒロインのロマンスはこの作者の典型で、持ち味が十二分に発揮されていました。ヒロインを妾として囲いたいなどと言ったりする失礼なヒーローですが、悪気はなくただ彼女と一緒にいたいという思いからの発言なので、そんな自己チューな言動も許せてしまうのよね。脇役のヒロインの大食漢の従兄や、一癖あるヒーローの祖母も良い味を出していました。ヒーローの両親の死にはまだ隠された謎があるようだし、彼の兄弟姉妹たちが主役となるシリーズの続きも楽しみです。