秘密の真珠に メアリ・バログ
人気作家の初期の名作? M・バログと言えば情感溢れるしっとりとしたロマンスを書く作家さんですが、これは1991年の作品だそうで、面白かったですがこの作者にしてはストーリーがメロドラマ風で人間関係がちょっとドロドロしていたように思います。 まず2人の出会いがショッキングで、はじめのうち気の毒なヒロインにとって、ヒーローは悪夢の元凶のような存在だったから、あまりロマンスのときめきが無かったのよね。(何だかキャサリン・コールターのヒストリカルみたいだと思いました。)でもそんな状態からどんな風に2人の関係が発展していくのかが興味深く、だんだん話に引き込まれていきました。苛酷な人生を送っているヒーローの孤独が切なかったです。悲惨な境遇に陥ってしまったヒロインが不憫だし、読み進めていくと、はじめは嫌な女だと思っていたヒーローの奥さんのことも気の毒に思えてきて、残酷な運命に翻弄された人々の悲しいストーリーに感情移入してしまいました。 それでもこの設定は少し好みが別れるところかもしれません。ヒーローが妻帯者なので、何となくすっきりしない部分がある気もするし。読み応えはあって良かったですが、この作者のヴィレッジブックスから出ているsimplyシリーズやslightlyシリーズのほうが、やはり面白いと思います。