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ロマンス小説の感想

愛の吐息は夜風にとけて エリザベス・ホイト

愛の吐息は夜風にとけて (ライムブックス) Thief of Shadows (Maiden Lane Book 4) (English Edition)

 

どんどん面白くなってきて目が離せない"Maiden Lane"シリーズの4作目。  昼は地味な孤児院の教師、夜はセントジャイルズの亡霊として貧民街にはびこる悪人を倒して世直しするヒーローがカッコいい。お堅い教師が服を脱いだら筋肉隆々だったりするところがスーパーマンのクラーク・ケントみたいで、そのギャップが堪りません。アメコミ風の設定ながらドタバタしたところはなく、切ないロマンスに引き込まれました。  ヒーローは平民で年上のヒロインが男爵未亡人という身分の差はあれど、それはさほど問題ではなく、それよりも孤独な2人の心の壁のほうが大きくて、そんな内面の葛藤が深くて読み応えがありました。財産もあり身分が上のヒロインのほうが、綺麗なドレスが好きな軽薄な自分が、貧民街の人々のため自分を犠牲にして戦う気高いヒーローに愛される資格はないと悩んだりするのです。裕福な貴族の女性らしい軽薄なところもありながら、心の内に孤独を抱えているヒロインがとても人間らしくて共感せずにいられません。  これまで正義のために尽くしてきて女性に目もくれずにいたヒーローが、ヒロインに"内なる獣"を呼び覚まされるというのがE・ホイトらしいHotなところで、未亡人のヒロインもなかなか積極的(!)なのですが、ヒーローも"獣を内に秘めいている"だけあって、荒々しく主導権を握ったりするのが面白いです。年上の経験豊富な女性と若い男性のロマンスですが嫌な感じはなくて、ぴったりのカップリングだと思いました。  このシリーズは1、2作目はそれほどでもなかったけど3、4作目はかなり面白くてすっかりハマってしまい続きが待ちきれません。次作は、今作で婚約者を亡くした令嬢と、妻に先立たれた例の人の話なのかな。面白そうで楽しみです。