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ロマンス小説の感想

百万ドルは花嫁を賭けて レイチェル・ヴァン・ダイケン

百万ドルは花嫁を賭けて (マグノリアロマンス) The Bet (English Edition)

 

元カレの婚約者のふりをすることになったヒロイン。  婚約者のふりをするうちに好きになっちゃうというよくあるパターンかと思いきや、ヒーローはその元カレではなくて彼の兄でした。でも元カレのほうもヒロインに気がないわけでもなくて、イケメンの兄弟2人にちょっかいを出されてモテモテのヒロインなのでした。軽めのロマンティックコメディのようなストーリーで、楽しかったけれど何となく物足りないような気も・・・。  好きな女の子をついいじめてしまうヒーローは、そのせいでヒロインには天敵だと思われてしまい、大好きな彼女が弟のガールフレンドになってしまったという・・・そんなヒーローの切ない想いをもっと書いてくれると良かったんだけど、ドタバタコメディのようなエピソードが多くて(それはそれで笑えるんだけど)、いまいち気持ちが伝わりにくかった気がします。ヒロインにしても両親を亡くした悲しみなんかをもう少し掘り下げて書いてくれたらもっと共感できたかも。 この作品は一般的なロマンス小説よりも主人公が若めのニューアダルトというジャンルに分類されるそうで、ヤングアダルト小説の読者のちょっと上の年齢層を狙ったものだとか。そういうジャンルなのだから、若さ故の不器用さとか、青春時代のほろ苦い想いをもっと描いてほしかったなあ。最後のほうには、ヒーローがヒロインのためにしていたことがわかる素敵なエピソードもあったりして、お話自体は悪くないんだけど、どうも作者のライティングスキルが未熟で、全体に説明不足な感じがするのよね。それとも登場人物の言動がいまひとつ支離滅裂に感じられるのは、若くて未熟だから説明できないような行動に走ってしまうからで、この作者はそれを素晴らしく巧く表現しているのかしら。  本国ではヒーローの弟とヒロインの親友が主役の2作目が刊行されているようです。